YAMAHA DGP-1 について
YAMAHA DGP-1 はキーのセンサーに本物のグランドピアノのアクションを使った
電子ピアノです.
北見に移民したのを機に YAMAHA
DGP-1 の
一年あまり使用した中古の楽器を購入しました.ベルリンでは家で Steinway の
B Fl"ugel を弾いていたので,電子ピアノでは,
ものたりない思いをするのではないかと心配していたのですが,
結果として(基本的には)大変満足しています.
時折,ヤマハの音楽教室などで,
アクースティックなグランド・ピアノを借りて練習しています.
これは以下に述べるような,
DGP-1の limitations による違いを補正するためですが,
従来の電子ピアノでのように,
アクースティックな楽器を久しぶりに弾いたときに違いにとまどってしまう,
というあのいやな感覚は全く感じません.
電子楽器は (i) オリジナルの楽器のシミュレーションをきわめる
(ii) 独自の楽器として発展してゆく,という二つの道があると思うのですが,
DGP-1 は (i) に関してかなりいい線をいっていると言えると思います.
私としては (i) をさらに進めて,
これに (ii) の方向のフィーチャを加味してゆけば,
すばらしいものになるのではないかと思っています.
このページもそれを応援したい,という気持で書いています.
Limitations
気のついた点をいくつか述べます.ただし,上にも書いたように,
私の楽器は一年前のものなので,
現在では改良の加えられている点もあるかもしれません.
- ボリュームとリバーブの設定が可変抵抗式のつまみになっているので,
これの設定を毎回一定にすることが難しいという難があります.
一人で楽器を弾く場合でも,
ヘッドフォンを使って弾くときと,そうでないとき,
という二つの設定を行き来することになるので,
音量とリバーブの設定がデジタルに記録できた方が便利なような気がします.
- これは僕の楽器が古くなって正常に機能していないせいかもしれませんが,
ヘッドフォンを使って弾いたとき,雑音が聞こえることがあります.
- ロマン派以降の曲などでペダルを保持して沢山の音をならすような個所で,
ペダルの効果のアクースティックな楽器との差が出てきてしまうようです.
- ハーモニックスがシミュレートされない,
というのが近代以降の曲の演奏で問題となることがあります:
ミュートでキーをおさえて共鳴させる,
という効果のシミュレーションはなかなか難しいかもしれませんが,
ペダルで保持している音をミュートでキーを押しなおして残す,
という奏法はソフトウエアの変更だけで簡単に実現できると思うので,
これはぜひ改良していただきたいと思います.
- 複雑な和音を弾いてペダルチェンジしたときに,
計算が追っていけなくなるのか若干タイムラグが感じられることがあります.
これは石の性能を上げたりプログラムを改良するなどで,
比較的簡単になおせるのではないかと思うのですが.
- 本体のデザイン上から譜面台が,
普通のグランドピアノやアップライトピアノに比べて,
ちょっと遠くになってしまっています.
私自身はこれはあまり問題ないのですが,最近,目の極端に悪い人
(ピアノを弾く人には結構いますよね)には,
これが負担になることが判明しました.
なお,根本忍 氏 には DGP-1 の仕様のインフォメーションを,
調べていただいたりなどしてお世話になりました.ここに感謝の意を表します.
同じ楽器を使っていらっしゃる方,
また yamaha の方など御意見をうかがえれば幸いです.
Sakaé Fuchino <fuchino@math.fu-berlin.de>
Last modified: Tue Dec 30 20:03:10 1997